針の木岳と蓮華岳
(2,821m&2,799m) H.14.8.28−31

 天候がはっきりしない為、予定の鳥海山は次にゆずり、まだ残雪のある北アルプス、針の木大雪渓を歩き、針の木小屋へ二泊して、掲題の二つの山へ登った。 4日間とも天候に恵まれ、近年にない素晴らしい山行が出来た。

28日夕方自宅を出発。 豊科にて夕食後、扇沢へ。  平日の為か、駐車場は空いており、明かりの届かない下へ止め、車中にてゆっくり眠る。  何時も賑やかな扇沢ターミナルを経験しているので、誰も居ない駅で蛍光灯だけが明るく、かえって不気味な感じであった。

翌29日、朝食後、扇沢の左手にある遊歩道の看板にしたがって,山道へ入るも、途中何回も林道を交差し、4っ目位でやっと,本来の登山道へ。 入り口付近よりこれから登る針の木岳が雪渓の上に見え,空は紺碧色に晴れている。
緩やかな道を,鳴沢や赤沢を渉りながら登って行く。  この付近はぶなの原生林で、葉が空に映えて何とも言えない美しさだ。
やがて、大沢小屋へ到着。  ヒゲのおじさんが1人で居たが、途中の登山道の下草を刈ったり、いろいろと整備をしてくれているようだ。 付近にあるキャンプ場に残された残飯を食べに猿が出没するとか(^o^)。 小屋へも来るので、睨んで追い返す由。一見恐そうなおじさんなので、サルもひるむか?

うっかり、人が座る椅子の上にザックを置いたら、ザックは今迄背負われて楽をして来たんだ、そこは人が座る処だ!と怒られてしまった。 なかなかユーモアのある面白い人だ。

さて、雪渓の状態などを聴き、再び歩き出す。  小屋から30分程で雪渓尻へ着き、ここでお茶の休憩。傾斜が緩い為、アイゼンは着けずに雪渓上を登る。 右岸の方が水の流れが無く、安全。 白馬や剣沢の雪渓と並んで日本の三大雪渓の一つだが、やはり、8月も末となると、規模がかなり小さくなるものらしい。傾斜がだんだんきつくなり、ノドと言われる場所あたりは、アイゼンが欲しくなったが、そのまま登る。かなり、両岸が狭まり、右側は直ぐ傍に雪渓が切れ、嫌なところだ。(此処は、我々が通過した翌日崩壊し、通れなくなった)。
高度もかなり上がり、振り返ると、爺が岳が中々良い形で見えている。 雪渓も終わり、右岸の草付きへとりつく。付近はまだ夏の高山植物が咲いており、特に、ウサギギクやヨツバシオガマなどが目立った。
さしもの、籠川(雪渓のある沢)も源頭に近く、急斜面をジグザグにのぼり、針の木峠へ到着。 午後になると、ガスが湧き、いかにも夏山といった風情だ。 然しながら、南側には直ぐ傍に、北葛岳や七倉岳,船窪岳などが見えていた。
汗が引いてから、小屋へチェックイン。 ガスが多い為今日の行動はこれで終わり、小屋でゆっくり過ごす。 我が岳友は早速ビール、下戸はなんと、ハーゲンダッツにありつく。 価格の高いのは此処までくればやむを得ないが、こんな高山で、アイスクリームが食べられるとは思ってもみなかっただけに、その美味しさもひとしおであった。(^o^)(^o^)

小屋は空いており、100名の定員のところ、34名だった。 繁忙時は240名も泊まる事がある由。 夕食の内容もなかなかのもので、特に魚(むつ)の煮付けがピカイチだった。  小屋の百瀬 尭氏に聞いたらレトルトで暖めるだけだとの事、それにしても他のおかずも含め、美味しかった。

30日
 今日も快晴。夜明け前より起床、小屋の前で、朝焼けの槍穂高、八ヶ岳、富士山、また、反対側では、爺が岳、鹿島槍、白馬連峰などの眺望を楽しむ。

朝焼けの槍穂上空

黎明の富士八ヶ岳遠望

爺が岳黎明

黎明の槍穂高連峰
朝食後、最初に蓮華岳を目指す。 いきなり急登だが、荷が軽く、快晴で爽やかなので、足取りも軽い。 すぐ這松帯となり、がれきの登山道が緩やかに続く。  最初に現れたピークからコマクサが見られ始めるが、残念乍ら既に盛りを過ぎて、殆どがしなびてしまっている。  登山道以外は植生保護の為、立ち入り禁止となっており、なかなか見つけるのが困難だったが、やっとどうやらまだ咲いている花に出会う事ができた。ここのコマクサはどれも株が小さいようだ。 

紅葉のイワベンケイ
紅葉始るオンタデ

風が強いのと、高度があるからか?チングルマも既に羽毛状の風車になっている。 だがイワベンケイが紅葉し,綺麗だったし、オンタデも葉が色ずき、季節は確実に動いている様子だ。
蓮華岳の山頂付近はなだらかで、いつまでも居たくなる。 展望も今日の快晴のもとでは、360度で、安曇野が眼下に、その上に浅間山、左へ戸隠、妙高、火打、更に後立山連山、剣,立山、槍穂、烏帽子、黒部五郎。。。遠く八ヶ岳、富士山、南アまだまだ同定できない山々が沢山見え、存分に眺めを楽しむ。

ゆっくり小屋へ下山し、小休止の後、今度は針の木岳へ。。。 ここも取り付きがキツイ登りだ。 種池方面へ縦走する方々はとうに、行ってしまい、殆ど人が居ない。  道路と一緒で、時間帯を替えると全く静かになる。

道は緩やかになり、最初のピークを右側から巻くように登っている。  これもだんだん傾斜が急となり、ピッチがのろくなる。こちらは、蓮華に比べ、花が多く、写真を楽しみながら歩く。確認出来た花は,モミジカラマツ、ウメバチソウ、ミヤマダイモンジソウ、イワオトギリ、タテヤマリンドウ、更に山頂付近で,ウスユキソウの大群落があった。 

ウスユキソウ(針の木岳)

イワギキョウ
百瀬氏によれば、年によって咲く場所が変わるとか。 あえきあえぎ、やっと針の木岳山頂へ。 針の木雪渓の方から、早くもガスが上がり始め、爺が岳方面は見えず、しかし、剣や立山は、黒部湖の上にどっしりと聳えているのが良く眺められた。
最初の予定ではその先の、スバリ岳まで行こうと考えていたが、既に体力もカナリ消耗し、おまけにガスも出てきたことだし、本日は此処で戻ることに決め、のんびりと休憩をして、花を楽しみながら下山。 今度は、真中のコマクサと言う、しかも窓際の場所へ案内された。 連泊の為、色々と気を遣って頂いたようだ。

小屋の百瀬 尭氏とは何回か話をする機会があったが、物腰の柔らかい好人物だった。 二泊目の夕食も、我々だけ、昨日と異なり、ますのアルミフォイル焼きで、中に独特のみそが入っており、これも美味しかった。  百瀬氏によれば彼の趣味も入っているとか。食事にはなかなかこだわりがあるようだ。

今日も昨日より人が少なく、午後の一時を小屋でゆっくりすることが出来た。  またまた、ビールにアイスクリーム(^o^)(^o^)。

31日
 朝4時に起床。  昨日登って確認しておいた場所へ、朝焼けの剣岳を撮影に出かける。 蓮華岳方面へ20分も登れば、剣が観える。今日は上空に薄く雲が出ており、爺が岳や、槍穂の黎明を撮る事が出来た。 残念乍ら、目的の剣は、雲の為、赤くならず。  針の木岳や赤沢岳付近がやや赤く染まった。  しかし、朝焼けの空は何と表現して良いか? 山でなければ観ることが出来ない素晴らしさであった。

朝焼けの針の木岳

朝の剣岳
百瀬氏に体力があったらまた登って来ることを約し、雪渓の崩壊状態を聴き、下山。 やはり、ノドの部分が崩れ、左岸に高巻くように、トラロープが張ってあった。この高まきが、結構しんどくて往生した。 秋になればこの道が使用されるらしいが、所々、ザレ場があり、一歩間違えれば、雪渓の谷底へ滑落するような場所があり、緊張。

崩落した雪渓

雪渓崩壊現場
雪渓の下部はまだ安全で、少しだがアイゼンを装着して下る。今日は週末とあって、下からどんどん登山者が上がって来る。 中には、どこかの20名位のツアーの方々も居り、高巻きの鎖場やザレ場ではリーダーの方が大変だなーと人事ながら心配してしまった。

赤沢にて大休止して、扇沢へ。 途中で目に付いた大町町営の温泉で汗を流し、豊科から中央道で帰宅。今回は、4日間とも快晴で、体力の限界を感じた場所もあったが、静かで楽しい山行であった。

コースタイム: 扇沢ー針ノ木峠    4時間半(休憩時間は除く)
         針の木峠ー蓮華岳  1時間15分 ”
         蓮華岳ー針ノ木峠   1時間    ”
         針ノ木峠ー針の木岳  1時間10分 ”
         針の木岳ー針ノ木峠  1時間 ”
         針の木峠ー扇沢    4時間  ”
余談; 針ノ木峠について。  たまたま、NHKの大河ドラマで放映されており、岳人には有名な佐々成政のザラ峠ー針の木越えが天正12年(1,584年)だった事、江戸時代まで、富山から信濃へ抜ける道として、このザラ峠ー平の渡しー針ノ木峠ー大町があった事などが解り、今の様に装備が十分では無い時代に良くこれらのけわしい道を歩いたものだと、小屋に居ながらしばし昔を偲んだ。     以上